思い出の品というものがあります。品物にまつわる物語が語り継がれ、人は亡くなっても物は後世に残ってゆく。思い出の品と同じように、土地にも想いは込められると思います。土地に想いを託すことができれば、人の想いは1,000年も2,000年も残っていきます。
ご先祖様の想いを継ぎ、自分たちの物語を紡ぎ、子孫に繋げていく。
土地はタイムカプセルのようです。
小清水がそんな場所になったらいいな。そんな想いのもと、小清水でカフェをやっています。
隣町の高柳の山奥にかつて、白倉という集落がありました。人口減少のため昭和47年に閉村しています。白倉があった場所にいま行ってみると、建物は残っておらず、閉村記念碑や神社の石垣、御神木と思しきものが残るのみです。
森の中にある集落の跡地には人の営みがほんの少し残り、その奥に木々が生い茂る様は、山の妖しさ(これについてはまた後日に)も相まってゾクゾクします。
私たちが小清水を残したいと思う一方で、白倉のように閉村する集落がある。いまの日本には人口減少で閉村しかけている、今まさに閉村している集落がたくさんあると思います。
なぜそうなのでしょうか。
冒頭でも言いましたが、私たちの生きた証や想いは土地に込められれば、ずっと残っていくはずです。
私の夢は小清水が100年先も残ることです。そしてそのさらに先の夢は小清水のように、人口減少の中でも、なんとか存続できるような集落が日本、世界で出てくることです。小清水が残ることで、その希望の光になれたらいいなぁと思っています。
誰もが生まれ育った場所や大切に思う土地があるはずです。そういう土地をずっと残していける世界になったらいいなと思っています。
私たちが死んだあとも、子孫たちが私たちのことを記憶して、さらに子孫にまで繋いで言ってくれたら、とても素敵ことだと思いませんか?