善根宿NITEを企画する中で思い出したことがあります。
ある時期、私は瞽女(ごぜ)に傾倒していました。のめり込むように瞽女のことを調べていたのです。
瞽女
民俗学の面白いところは歴史と違い、いまも続く昔のことを学ぶことだと思います。昔から続いていてそれでいて今も暮らしの中に残っているものを、フィールド=暮らしの現場で聞き取りすること。そのフィールドが日本国内であること。
瞽女も近所のおばあちゃんちに来ていたそうです。
瞽女さんを泊め申すのはお不動様を信仰するのと同じことだ
瞽女唄を聞かせると蚕がたくさん餌を食べて丈夫に育ち、良い絹を作ってくれる
「わぁ、おらほの瞽女さが来た~」
そういう言葉を聞くたびに、とてもゾクゾクしたのを覚えています。
先日、柏崎ふるさと人物館の前を通ったら解体工事をしていました。今から10年以上前、ここで臨時職員をしていたんです。瞽女にハマったのもここに勤めていたときのことです。館内には刈羽瞽女の伊平たけの展示がありました。いまその展示の一部は柏崎市立博物館にあります。
このジャケ、どうです?
ハードコアパンクに慣れ親しんだ方なら見覚えというか、既視感を感じる人もいるんじゃないでしょうか。TOM画伯の描くフライヤーやジャケにそっくりじゃないですか?秋竜山というナンセンス漫画家が書いたジャケだそうです。
テイストが似ていますよね。
なんとこの「しかたなしの極楽」、Spotifyで聞けるんですよ…!
正直、あまり聞き親しんでいないと聞きなれないサウンドではあるんですが…。
唄声や演奏には長い年月を受け継がれたすごみや落ち着きを感じます。
https://open.spotify.com/intl-ja/album/1evYAbjjpowUtJatodrO5E?si=0kjhWbvkTNO6jXqPOQG4yw
さらには瞽女を題材にした読み切り漫画まで…!無料で読めて瞽女の世界の掟の一部を垣間見ることができます。
https://comic-days.com/episode/3269754496647351395
福祉という言葉が無い時代、人々が差別だけされていたかと言うとそれだけではないでしょう。医療や社会制度が未発達の時代、大変なことももちろんあったのだと思います。
その中でも自然発生的かつ「共同体の意思」のような大きな力が働き、いろんな人々にそれぞれの居場所を作っていたのではないでしょうか。近所のおばあさんも、瞽女さんが身の回りのことをしっかりこなしている姿を見て、盲目とは思えなかった、と言っていました。背筋がシャンとしていて小ぎれいにしていた、と。前近代や近代をユートピア視するつもりはありませんが、障碍者も健常者もいまとは違った関係性だったように思います。